歯科タバコ介入とトレーニング

6動機づけの低い方へ

6.1 動機づけとは何でしょう?

5	禁煙の準備状況の評価

ここでの「動機づけ」は、行動変容の予測のカギになる「本来備えている動機づけ」を言います。

行動科学の専門家によれば「本来備えている動機づけ」は、目標に向かう行動を活性化し、指示し、維持する内的状態をいいます。

このトレーニングでは、行動変容の重要性と変容能力への自信と関連する行動変容の準備状態を言います。

6.2 「5R」モデル

5Rは動機を高めるための方法です。簡易動機づけ介入である動機づけ面接(MI:Motivational Interview)の原理に基づいており、方向性のある、患者中心のカウンセリング法です。禁煙したくない人や禁煙に成功できると思えない人の禁煙の準備性を高める方法です。禁煙準備ができていない人に禁煙の準備性を高めるのが目的です。

6.3 簡易動機づけ面接(第Ⅱ版を用いた解説をしています)

動機づけ面接は、1980年代にアルコール依存症の患者さんの行動療法としてMiller博士とRollnic博士により開発されました。方向性があり患者中心で、行動変容の両価性を明確にし、問題を解決することにより動機を高めるカウンセリング法です。動機づけ面接では、個人の目標や価値観に基づいて、個人に本質的に備わっている動機づけの能力を引き出すことを目標としています。

6.4 共感、ギャップの意識

①共感の表現

  • 判断、批判、叱責をしないで理解します。
  • 患者(の準備状態)の「どんな居所」も受け入れる意思を示します。
  • 患者の見通しを理解しようとする願い(同意ではない) を表します。

②ギャップの認識

  • 個人の目標または価値感と現在の行動とのギャップへの認識により行動変容が動機づけられます。
  • ギャップをみつけて患者を支援し行動変容に移っていくという方略を用います。
  • 「やり方」はわきに置いておき患者の希望や目標を尋ねます。

6.5 抵抗に対応し、自己効力感を支援します

①抵抗への対応

抵抗は対人関係で起きる現象です。「はい、しかし・・・」症候群の抵抗がそうです。原因と解決法は、「準備状況の判断間違いや先取り」には「準備状況を再評価する」、「議論、説教をする」には「聞き返し傾聴する」、「自己決定権を奪う(中断)」には「個人の選択や自己決定権を尊重する」ことにより抵抗に対応します。

②自己効力感の支援

「達成経験」「他人の行動の観察」「言葉による/社会的説得」「情緒・生理学的目覚め」の4つの内容が資源となり自己効力感が向上します。

支援する方法は、「実際の禁煙練習」、「行動模範のモデルの観察」、「成功は自身の結果だと確信をもつよう推奨」、「ストレス軽減や雰囲気を高めるリラックスのテクニック」があります。

6.6 「5R」を診療に導入するヒント

「5R」は禁煙の準備ができていない患者さんが対象です。「5A」で、禁煙準備を評価するステージに続いて「タバコを吸わないようになりたいですか?」「禁煙成功の自信がありますか」の2つの質問への回答に基づいて実施します。関連→危険→恩恵→障壁→反復とすすめます。

  • 患者に会話をさせるようにします。講義してはいけません。
  • 患者が非喫煙者になりたくない場合は「リスク」「恩恵」に焦点を当てます。
  • 非喫煙者になりたいが禁煙できないと思う場合は「障壁」に焦点を当てます。
  • 準備ができていない場合はポジティブな雰囲気で終わり気持ちが変われば戻ってくるように招いてください。
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